株式会社メディコス・ヒラタ


日本に初めてカテーテルインターベンションを導入した企業として、低侵襲治療・・・・・に貢献しているメディコスヒラタ。日本初の薬事承認を取得するためには、予想をはるかに超えた困難に直面するケースもあるに違いない。その障壁をどのようなアイデアや取り組みで乗り越え、医療分野へ低侵襲医療・・・・・を提供しているのか。その挑戦の軌跡に迫ってみようと思う。

Wはメディコスヒラタに入社後、営業現場にて医師と向き合う実践の中で専門医療についてより深い経験と知識を積み重ねていった。その後、幾つかの部署を経て、学術・薬事グループ臨床開発チームに配属となり、チームリーダーを任されることに。その一方で2010年代に入ると、脳梗塞の治療方法が大きく進歩した。血栓を薬で溶かす治療方法しかなかった状況から、カテーテルの使用が認められたのである。それがWの仕事にも大きな影響を与えることになる。

日本の医学を大きく進歩させる可能性への挑戦

 

医療機器の薬事承認には、そのリスクに応じてクラスⅠ〜Ⅳまでのクラス分けがされている。申請区分は、新医療機器、改良医療機器、後発医療機器の3つに分類されている。今回紹介する脳梗塞の治療で日本に初めての導入を目指した「脳血栓吸引用カテーテル」とは、急性期虚血性脳梗塞患者に対する連続血栓吸引術に使用することを目的として開発されたカテーテル。リスクは最難関のクラスⅣ、区分としては新医療機器に該当する。新医療機器とは、既に製造販売の承認を受けている医療機器と構造、使用方法、効能、効果または性能が明らかに異なる医療機器のことを指す。Wはそんな未知の医療機器を、日本の医療現場で使用できるようにする大役を担うことになったのだ。


「自分がその役目を全うできるか」という大きな不安は感じていたものの、Wの胸の中をいちばん高鳴らせていたのは「未知の分野にチャレンジできることは楽しい」という感覚だった。これまでの仕事においても、日本で使用された実績がほとんどない製品の魅力を多くの医師に紹介してきた。「若手の頃から仕事を任され、様々なチャンスを与えてもらえる社風で揉まれる中で度胸がついた。」そんな想いがふと心に浮かんだとき、メディコスヒラタの社員を育てる環境の魅力が理解できたと共に、「自分ならやれる」という自信が湧きあがってくるのを感じた。


海外での臨床試験データを日本で使用できるのか

新医療機器を日本に導入しようとすると、実際の患者様に使用することができるかを臨床試験のデータに基づいて証明することが必須となる。臨床試験は日本で行うか海外で行うかの2つの選択肢がある。日本で初めて導入するならば、日本人を対象としたデータを収集することが最も確実な方法である。しかしながら、日本で一から臨床試験を行なっていたのでは、データの収集と分析に時間がかかってしまう。そこで、Wは「海外で既に行われていた臨床試験のデータを、日本でも使用できないか」と考え、厚生労働省管轄の審査機関であるPMDAに相談。その助言のもと、「脳血栓吸引用カテーテル」の品質と有効性、安全性が日本の医療基準を満たしているかを検討した。そのデータは問題なく使用できたものの、日本人に対しての「脳血栓吸引用カテーテル」の使用実績がなかったため、次の段階として、学会の収集した脳梗塞治療のデータと照らし合わせることで、日本の医療現場における有用性を明らかにし、薬事承認の審査を無事にクリアすることに成功した。

海外の最先端医療機器が、日本で薬事承認されるまでに時間がかかるデバイスラグが問題視されている。質の高い医療をより早く普及させるためには、日本で薬事承認されるまでの時間を短縮することが求められる。医療機器の先進国であるヨーロッパの薬事承認において臨床試験のデータを必要としない場合でも、アメリカや日本では臨床試験のデータが必要となる場合がある。昨今ではその臨床試験のデータをより早く収集するために、アメリカと日本で共同の臨床試験を行う必要性が高まっている。W自身も海外に足を運び、医療制度に関して学ぶこともある。多い時には年に数回も海外に行くという多忙さの中でも、「メディコスヒラタは、ヨーロッパの次に日本で薬事承認を取得できるような治験の体制を整えている。そんな仕事に関われることには大きなやりがいを感じています」と辛さを微塵も見せることはなかった。

初めての手術に立ち会う緊張感と達成感

薬事に関わる仕事とは、承認を取ることだけではない。承認が下りた後に、「どのように普及させていくかを考える」ことも重要である。例えば「機器を扱うためにはどういったトレーニングが必要か」とか「病院に機器を導入する資格要件をクリアする体制が整っているか」にもしっかりと目を見張る必要がある。製品によっては、使用する際に海外で実績のある医師の立ち会いが必要というような条件を有する機器もある。医療機器にまつわることを広範囲に考えることは大変そうに思えるが、そこが大きなやりがいでもある。

また、「海外で起きた失敗を日本で起こさないようにするには」を考えることも非常に大切な要件である。2000年代にメディコスヒラタが販売を開始した「大動脈用ステントグラフト」も、日本に初めて導入する事例であった。新しい技術を正しく伝えるために、海外メーカーの担当者や治験を行った医師と相談し、技術研修用のプログラムやトレーニングビデオを作成した。「せっかく良い医療機器を導入しても、成績が悪いと普及しない。」そんな責任感が、Wを支えていた。そして遂に、日本の施設でも「大動脈用ステントグラフト」を使用して手術を行う日がやってきた。手術を担当する医師とは前夜から打合せ、機器を使うトレーニングに何度も付き合った。手術には海外メーカーの担当者や医師が立ち会い、緊迫した空気が現場を包み込む。その中で、Wは機器に関する質問に冷静に答えた。結果、手術は無事に成功。大きな歓喜が沸き起こる現場の中で、Wはかけがえのないやりがいを感じていた。


経験したことをスタッフに伝えていきたい

メディコスヒラタは、「脳血栓吸引用カテーテル」や「大動脈用ステントグラフト」以外にも、日本初の薬事承認案件を数多く有している。新しい医療機器を、日本に初めて導入する為に、自らが携った案件が厚生労働省から承認を得ることができた時には、本当に大きな達成感がある。そこで得られた知識やノウハウを、他のスタッフにもどんどん伝えていきたい。それによって、最先端の医療を支えるメディコスヒラタの企業基盤をもっと底上げすることが、今のWの大きな目標となっている。そして、自分が尽力した承認案件が、将来的に身近な人の命を救うことにつながるかもしれないという期待感が、これからもひとつでも多くの薬事承認案件に携わりたいというモチベーションと原動力になっている。